手を伸ばした右手の指先に触れたムービーを,ポケットの中に入れて街へ駆け出そう。…ヘッドマウントディスプレイが標準となる日が来る,近い将来。
マイクロビジョン社は,新しいヘッドマウントディスプレイの出荷を開始した。航空・医療・軍事などのプロフェッショナル分野で用いられる。重量は502グラムで,解像度はSVGA表示の800 x 600。装着した片目から17インチディスプレイのモニタに相当する映像がみられる。
例えばPDA。いくら表示部分をコンパクトに効率良くまとめたとしても,それ以上には一切広がらないという制約は,どうしようもないんだけれども檻に閉じこめられているような,拘束されているような感覚を生む。もちろんパソコンのディスプレイだって同じで,17インチでも21インチでも,そのなかで固定の解像度のなかでしか移動することができない。でも,思考も,創造力も,20cm平方相当のなかに収まるものぢゃない。
リアルなことを考えても視界が限定されているのは当然のことだが,私たちは横を向くことも後ろを向くこともできる。パソコンのOSが現在の2Dから3Dへと広がったとき(すなわち自分の横や後ろも使用できるようになったとき),今のディスプレイは液晶も含めて使い物にならなくなる。ヘッドマウントディスプレイによって作り出される,首の動きに合わせて回転する360度のデスクトップ(いやまたはそれが本当のワイヤード空間,になるのか)を空想してみる。
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